気候が不順な日々が続いております。またまた、ご無沙汰をいたしました。
先日、静岡の丸子に行ってきました。
家人が、テレビの人気番組「なんでも鑑定団」を見ていると、鑑定を依頼した中に静岡市の丸子の丁子屋という「とろろ汁」の味を伝える店の店主さんが出ていたとのこと。
鑑定を依頼したのは店主の先代?が蒐集していた「東海道五十三次」の浮世絵でかなり高額な鑑定価格が示されたそうです。家人は、鑑定結果よりも、そのお店が400年も続いているということに魅かれて「とろろ汁」を「食べに行きたい!」と思ったようです。
「たまにはちょいと贅沢もいいか」と行くことに。静岡市内にいる家人の高校以来の友人に同行・道案内してもらい、丸子へお昼前につき早速、「とろろ汁」をいただきました。慶長元年(1596)に宿場の茶屋として創業したとのこと。
自然薯を使い、秘伝の自家製白味噌と自家削り節の鰹だしを加えたとろろ汁は素朴ですが味わい深く、おいしくいただきました。店内には「鑑定された」五十三次の浮世絵、昔の道中に使われた道具類なども展示され、駿府生まれの十返舎一九の像もありミニ歴史博物館のようでもありました。
(以下、店にあったパンフレットより)
『 丸子は「まりこ」とよみ、東海道五十三次」、二十一番目の宿場「丸子宿」。一一八九年(文治五年)駿府の武士が源頼朝よりこの地を与えられ設置された宿場町だそうだ。関ヶ原の戦いの翌年、徳川家康が「東海道伝馬制」を制定すると丸子は宿場町として急速に発展し、飛脚や参勤交代、旅人の往来が盛んになったとのこと。
難所である宇津谷峠を控え、とろろ汁で精をつける旅人でにぎわったとのこと。
丸子宿にゆかりの江戸文化人に 松尾芭蕉、十返舎一九、安藤広重なども。
駿河に「カラスは鍛冶屋でかねたたき、とんびはとろろのお師匠さん」というわらべ唄があり、「とろろは、大空をゆっくりと輪を描いて飛ぶとんびのようにゆったりとした気持ちでつくると美味しくできますよ」と云う唄だそうです。
十返舎一九の弥次・喜多「東海道中膝栗毛」に丸子の場面にとろろ汁を描いているところがあります。
宿場の夫婦が喧嘩しながら作ったとろろ汁を庭へぶちまけてしまい、とろろの師匠であるとんびもすべってしまい、食事にありつけなかった喜多さんが
「とんだ手合いだ。アノとろろ汁で一首よみやした」
けんかする 夫婦は口を とがらして
とんびとろろに すべりこそすれ 』
安藤広重の「東海道五十三次」にも、「名物とろろ汁」の看板を立てた茶店の様子が描かれた「丸子」があり、丁子屋さんを思い起こさせる風景画です。(「鞠子」と書かれた版もあるそうです)
帰りに、友人のお宅にお邪魔し、お手製の桜ロールケーキと紅茶をおいしくいただき、ちょいと贅沢な小旅行を楽しみました。
(江戸の時代の古典・浮世絵についても興味を抱かせる旅でもありました。)