· 

うたのおばさん

 昨日の朝刊に松田トシさんの訃報。96歳、老衰で亡くなったとあった。

松田トシさんといえば1970年代前半にTVで人気のあった「スター誕生」の、歯に衣を着せぬ、手厳しい審査員であったとの印象をお持ちの方が多いと思います。

 

が、もうひとつ、私にとっては「うたのおばさん」の方が強く印象に残っています。

1955年(昭和30年)前後はテレビはもちろんなく、ラジオ放送をよく聴いていたように思う。小学校にあがる前から、母親と一緒になって聴いていたラジオ放送が「うたのおばさん」であった。

童謡、唱歌(ほかのジャンルがあったかどうかは思い出せない。)を、松田トシ、安西愛子の二人が交代で番組をやっていた。お二人に違いが有るかどうかも分からない年齢だったのでしょうが、メリハリの利いた、自信に満ちた口調はお二人とも同じであったことは幼いながらも感じていたと思う。

 

時々、ラジオ局から外に出て、いろんな場所(おもに小学校ではなかったか)で歌唱指導をしていた。

 それがいつだったのか、もう小学校にあがっていたときかどうかはっきりしないが「今日は、中央区立(?)水上(すいじょう)小学校に来ています。」と聞こえてきました。

 「すいじょう小学校?」水の上にある学校、水の上に校舎もグランドもあるのか。聞こえてきた響きに、どんなところか想像してもわからないままでした。何か普通の小学校ではないのかも、などと、その時感じたと思う。

 しかし、うたのおばさんが「今日は、水上小学校のお友達と、『花』を歌います」と言って

 「♪ 春のうららの隅田川」 から始まった合唱は子供心に「上手だなあ」と思わせたものであったことが「すいじょうしょうがっこう」の記憶とともに残っています。

 「水上小学校」が水の上にある小学校ではなく、当時はまだ、川や運河に艀(はしけ)や達磨船(だるません)の船上生活をしている家族がいて、子供たちが陸の小学校(全寮制?)に行っていたのだということは後から知り、なんだそういうことかと、なぜか、ほっとした気持ちになったことを覚えています。

 (ちなみに、東京都立水上小学校は1966年に廃校となっているようです。)

 

で、うたのおばさんの話。松田トシ、安西愛子のお二人とも音楽の基礎・基本を十分身につけて「おばさん」をやっていたのだなと思う。何事も「基礎・基本」はいつまでたっても大切ですね。 

 

最近、「題名」を思い出せず、なぜか気になっていたうたがあります。

野辺の送りに、松田トシさんへ

 

「歌の町」

♪よい子が住んでる よい町は 楽しい 楽しい 歌の町

花屋はチョキチョキ チョッキンナ 

かじ屋はカチカチ カッチンナ

 

♪よい子が集まる よいところ 楽しい 楽しい 歌の町

雀(すずめ)はチュンチュン チュンチュクチュン 

緋鯉(ひごい)はパクパク パックリコ

 

♪よい子が元気に 遊んでる 楽しい 楽しい 歌の町

荷馬車(にばしゃ)はカタカタ カッタリコ

自転車チリリン チリリンリン

 

♪よい子のおうちが 並んでる 楽しい 楽しい 歌の町

電気はピカピカ ピッカリコ

時計はチクタク ボンボンボン