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「困っちまっただ」 戦争は平和だ

 ご無沙汰してしまいました。ここ二、三日、この国の行く末のことを柄にもなく考えていました。長くなりそうですがご容赦ください。

 

 数年前、家人の従兄が原因がわからぬまま体調を崩し検査入院し、数週間後の朝、妹へいつものように元気にメールを送った後、体調が急変し、亡くなった。その従兄がよく言っていた口癖が「困っちまっただ」「弱っちまっただ」であった。病院に見舞いに行った時も「どうしてこんなことになったのか見当がつかない、弱っちまっただ。」まだまだ元気で暮らしていくことができたはずであった。享年72歳。

 

 昨日は。4月28日(ヨンニッパ・沖縄デー)。1952年4月28日は被占領期間約7年が終わり日本が独立(?)を回復した、サンフランシスコ条約締結の日でした。同時に沖縄・奄美・小笠原諸島は日本から切り離された日でもあった。

 

昭和天皇が沖縄をアメリカが自由に使ってくださいといったとも言われている。

 

<(参考) (通称)沖縄メッセージ(昭和天皇のマッカーサー元帥に宛てた「米軍による沖縄占領状態を長期間継続させることを依頼するメッセージ」>

 

 1947年9月に、昭和天皇は米軍が沖縄や琉球列島のその他の島に米軍が占領状態を50年間より更にもっと長期間継続させることを希望する私的な考えを示し、当時、天皇の御用掛であった寺崎英成が占領軍の政治顧問のシーボルトの事務所を訪れて考えを伝え、ワシントンのマッカーサー元帥にその内容を送ってもらうように依頼したものである。 その文章の記録が残されている。

 ワシントンで公文書の公開となったものが沖縄県の公文書館にコピーとして保存されている。

 

『戦争は平和だ』 まさに二重言語(ダブルスピークス)

 

 日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)共同発表では

「普天間飛行場の代替施設を辺野古に建設することが <略>

 唯一の解決策であることを再確認」と

 沖縄の民意などまったく無視したもの。

 

「弱っちまっただ」

 

 そんな沖縄にとって4・28「屈辱の日」に日米の「新たな日米防衛協力のための指針(ガイドライン)なるものが合意されたという。

 

「平時から緊急事態までのいかなる状況においても日本の平和及び安全を確保するため、またアジア太平洋地域及びこれを超えた地域が安定し、平和で繁栄したものとなるよう日米両国間の安全保障及び防衛協力は、次の事項を強調する。

「Ⅰ 防衛協力と指針の目的」には

 

 ・切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な日米共同の対応

 ・日米両政府の国家安全保障政策間の相乗効果

   <略>

 ・地域の及び他のパートナー並びに国際機関との協力

 ・日米同盟のグローバルな性質

  <略>

 日本は「国家安全保障戦略」及び「防衛計画の大綱」に基づき防衛力を保持する。米国 は引き続きその核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ、日本に対して拡大抑止を提供 する。」

とあります。

 

 いつでも、どこでも自衛隊を出して戦争できる状態を保ち、アメリカの言うとおりいたしますよという内容ではないのでしょうか。アメリカにとって「素晴らしい」ことを約束してくれたということでしょう。

 

 昨日の9時のNHKニュースに「知日派」の肩書でインタビューに登場したアーミテージ氏(かつて日本に対しショー・ザ・フラッグ=旗をかかげろといった人だ)は「自衛隊が命がけでアメリカ(人)を守るということだ」と今回の日米新ガイドラインについて言っている。

 

 朝日新聞特別編集員の富永格さんのツイッターに

「憲法<日米安保条約<日米防衛ガイドライン。憲法変えずに集団的自衛権を認め、安保条約を改めぬまま対米協力を世界に拡大。国会では安保法制の審議前だよ。国会<政府<米国ということか→日米同盟の本質転換 自衛隊の米軍支援、地球規模に」

 

「困っちまっただ」

 

『わが闘争』に「もっとも単純な概念を1000回繰り返して初めて、大衆はその概念を記憶することができる」「ごくわずかなポイントだけに絞り、そのポイントをスローガンのように利用する。そのことばを聞けば誰でもそのことばが指す内容をおもいうかべることができるようにせねばならない」。したがって「主観的で一面的な態度」が要請される。

「ヒトラー演説 熱狂の真実」高木博行著 中公新書2014年6月25日初版より。

 

「アベノミクス」「三本の矢」「異次元の金融政策」「切れ目のない」「事実であります」「基本的価値観の・・・」「全国津々浦々にまで・・・」「経済の好循環」「辺野古移設が唯一の解決策だ」「積極的平和主義」など安倍晋三氏の言葉の使い方。

そして、麻生太郎氏の「ナチスのように・・・」発言。国会与党の絶対多数の状況。そしてまぎれもなく「戦争法案」提出。憲法改正!?

 

本当に「困っちまっただ」

 

「第1次大戦の償いを背負うドイツ経済は、米国資本の撤収で沈んだ。工業生産は3年で4割減、労働者の3割、600万人が失業する。苦しむ大衆をとらえたのが、反ベルサイユ(戦後)体制、反ユダヤの宣伝だった。

 ナチスは30年の選挙で躍進、32年には4割近い得票で第1党となり、翌年政権を奪う。ここまでの物語は国民との合作、あとは独り舞台である。

 ヒトラーの流儀は排除弾圧だけではない。娯楽と宣伝目的のラジオ普及、アウトバーン(高速道)建設や軍需による雇用拡大、ベルリン五輪、フォルクスワーゲン(国民車)構想……。硬軟両様の施策で民心を取り込み、盤石の翼賛体制を築き上げた。

 ここに教訓が横たわる。独裁志向の人物や集団にひとたび託せば、彼らは言論を封じる一方で甘言を弄(ろう)し、国を意のままに操るだろう。選び間違えたツケはいずれ国民に回る。少なくとも暮らしで、ともすれば命で。」

「(日曜に想う)ヒトラーを清算した熟慮と自省 特別編集委員・冨永格 朝日新聞2015年4月26日」より

 

潜水艦も持ってる 魚雷も積んでる

戦闘機も持ってる 燃料はいつも

満タンにしておいてある

いつでも飛び立てるように

すべてを焼きつくすほどの爆弾が出番を待っているぜ

 

君 ちょっと行ってくれないか

すてごまになってくれないか

いざこざにまきこまれて

哭いてくれないか

 

死んでくれないか

         ザ・ブルーハーツ 甲本ヒロト作詞・作曲 より抜粋

 

 引用ばかりで恐縮ですが、若い人たちがよく考え、行動することを願うとともに

 店主のように高齢のものもできるだけのことをしたいものです。